能とプロレス

Twitterに書いた文章をまとめてるものです。

能とプロレス。ずいぶん畑違いに見えるかもしれませんが、舞台上・リング上での演者同士・選手同士の駆け引きは似ているものがあると思っています。

能楽は演劇ですからもちろんシナリオ(セリフ)があります。
しかしシテ(主役)ワキ(脇役)は違う流儀なのです。つまり全く同じテキストではありません。


そして囃子方。例えば笛・小鼓・大鼓・太鼓も皆違う流儀です。
ではどうやって擦り合わせるのかと言いますと、擦り合わせません!どうしても話が噛み合わない時だけ融通します。


しかも、稽古(練習)はそれぞれが自分だけで稽古をします。
全員で合わせるのは基本的に前日か前々日に「申合(もうしあわせ)」を1回だけやります。時にはそれも行いません。
ではなぜ合うのか?
今回のドラマで「羽衣」という曲がありましたが、それぞれが自分の信じる「羽衣」という曲を表現します。いわばプロレスで言えば技を繰り出すわけです。


そしてそれは、よけてはいけません。正面から受けるのです。そしてこちらも自分の主張を繰り出し相手もそれを受け止め…というふうにして、時には協調し時には押し合いとなって自然「羽衣」という曲の最大公約数が舞台上に現れる、というのが能の表現となります。
ですからこの緊張感を作るために、みんなで集まって稽古したりせず、公演も1日限りになっているところが特徴的です。
舞台はその場一度限りです。

てなことで、能=プロレス論でした。

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