何度も書いていますが、うちはハードカバーの本は購入禁止になっています。
このベストセラー小説。この度、文庫本が出たので読む事が出来ました。
私としてはウンベルト・エーコの「薔薇の名前』の様な小説を期待していたのですが、全然違った。
色々びっくりが多い小説。(いい意味でも、悪い意味でも。)
第一行目から「シオン修道会」の文字。
本文一行目には「ソニエール」と言う名前の人物。
分かる人には分かる、怪しい匂い……
思わず『ムー』の別冊かと思ってしまいました。
冒頭の「この小説はすべて事実に基づいている」っていうのは、シャロークホームズシリーズの最初に、「これは私ワトソンが事実に基づいて云々・・・」書いてあるのに等しい事に気がつかないと、ガセビアを人に振りまく事になるので注意が必要。
以下読んでない人は読まない方がいいかな
文章は非常に読み易い。字が大きいのもありますが(もうちょっと小さい字にして、上・下巻にすればいいのに)話の進みがスピィーディ。こりゃ知らない人が読むと、どこがフィクションで、どこが事実だか分からないくらいの、虚実ないまぜスクランブルエッグ小説。
しかも出てくる事実と言うか蘊蓄は特に目新しい物はなし。
マグダラのマリアがイエスの妻とか娼婦ではなかったとか、もういいってば。
しかも、あまりに話が早く進みすぎて人物が書けていないが、そこにはこの小説の面白さは無いから大丈夫。
映画化されれば、役者さん自身の演技でどうにでもなりそう。
そういう点では、シナリオ原稿を読んでいる気がする。
出てくる謎解きも、非常にしょぼい。まあ最初のあたりの謎解きは、死ぬ間際に作った謎だから、あまり深い謎ではないという考えもありますが、それ以外の謎がもっとしょぼい。いかにも解けそうな物ではなく、「そいつはちょっと気がつかないぜ」ぐらいにしてしまった方がよかろうに。
だんだん盛り下がってくるのも非常に残念。最初は敵役が大きく非道に見えていたのに、どんどん、しぼんでしかも人間臭くなってゆきます。
まったく面白くないわけではないのですが、期待が大きかったぶん、ちょっと残念。
カッパえびせんと同じ位の価値はある本かな。(読み始めると一気に読むけれど、物自体は大した事無い)
結局沢山売れる本は、こういう本なのでした。
早速明日はBOOK OFF
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